SNSを含むソーシャルメディアは、今や私たちの日常生活や社会構造の中に深く組み込まれた存在となっています。個人が容易に情報を発信・共有できるようになったことで、遠く離れた人々と瞬時につながり、意見を交換し、共感や連帯を生み出すことが可能になりました。災害時の情報共有、社会問題への関心喚起、少数派の声の可視化など、ソーシャルメディアがもたらした利便性や社会的意義は決して小さくありません。
一方で、同じ仕組みが社会に深刻な分断や混乱を引き起こしているとの指摘も強まっています。虚偽情報や誤情報の拡散、誹謗中傷や炎上、過激な言説の増幅、さらには選挙や世論形成への不当な影響など、ソーシャルメディアが社会秩序や民主主義の基盤を揺るがしかねない事例が国内外で報告されています。アルゴリズムによる情報の最適化が、利用者を「見たい情報」だけに囲い込み、価値観の固定化や対立の先鋭化を招いているという問題も見逃せません。
このように、ソーシャルメディアは単なる中立的な「道具」ではなく、社会の意思決定や人々の認識のあり方そのものに影響を及ぼす存在となっています。その利便性を最大限に活かしつつ、破壊的側面をどのように抑制すべきかという問いは、個人のモラルの問題にとどまらず、企業の責任、法制度の在り方、さらには社会全体の成熟度を問う問題でもあります。
12月19日のゼミ討論会では、「SNSを含むソーシャルメディアは、社会に利便性と破壊のどちらをより多くもたらしているのか」という問いを出発点として、ソーシャルメディアが現代社会に果たしている役割を、二つのチームに分かれて討論を行いました。利便性と破壊は単純に二分できるものなのか、それとも両者は表裏一体の関係にあるのか。さらに、私たちはこの技術とどのように向き合うべきなのか。参加者一人ひとりが自らの経験や視点をもとに考え、議論を深めていくことを期待しています。
| 発言要旨 |
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| 【破壊が多いと考えるチーム】 |
| (原田・ほ)確かに友人と気軽にコミュニケーションが取れたり、自分の考えや気持ちを自由に発信できるなどのメリットがあります。しかし、デメリットも大きい。現在急速に技術が進歩し、AIで簡単に間違った情報や写真を自分で作ることができる。それによってどれが正しい情報か判断がつかなくなってしまいます。また、精神的な健康にも大きく影響する。SNS上で相手の充実した生活の写真や発信を見て、自分と比べるようになり自己肯定感が下がったり、相手に嫉妬したりするなどSNS上だけでなく実生活にも影響を及ぼす恐ろしいものだと思います。 |
| (満)SNSによる誹謗中傷は、多くの人が一度は見たり聞いたりしたことがあると思います。確かに、個人が相手に対して何を思うかは自由であり、「思想・良心の自由」として憲法でも保障されています。しかし、相手への不満などをSNSに投稿することは、誹謗中傷として相手を攻撃する行為になります。具体的には、「この世にいらないから消えろ」「バカ」「クズ」「キモイ」といった人格を否定する表現や、不確定な情報を憶測で投稿する行為などが挙げられます。これらの誹謗中傷は、刑事上の名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪に問われる可能性があり、民事上では損害賠償を請求されることもあります。このような誹謗中傷は昔から問題になっていましたが、SNSの普及により、より大きな問題へと発展したと考えます。 SNSによるネットトラブルも、多くの人が一度は見たり聞いたりしたことがあると思います。主な具体例として、誹謗中傷・いじめ、個人情報の流出、コミュニケーションの齟齬などが挙げられます。ここでは、いじめとコミュニケーションの齟齬についてまとめます。 若い世代がSNSを使用し始めたことで、SNSによるいじめが深刻化していると考えます。また、いつでも連絡が取れるようになったため、24時間いつでも被害者に攻撃できる状況が生まれています。いじめの特徴として、陰湿化・潜在化しやすいこと、場所や時間を選ばないこと、情報が急速に拡散し永続することが挙げられます。 対面の会話では、言葉だけでなく表情、声のトーン、身振りといった非言語情報が理解を助けます。しかし、SNSではこれらの情報が欠落するため、文脈の欠如、解釈の多様性、既読スルー問題、絵文字やスタンプへの依存といった特徴が生じます。また、画面越しのコミュニケーションでは相手の姿が見えないため、想像力の欠如や攻撃的行動の誘発、リアルタイムでの修正の困難さといった問題もあります。実際に若い世代の多くは、これらの問題に直面した経験があると考えられます。このような特徴から、SNSでコミュニケーションを行う際には、日常の会話をイメージしてやり取りすることが必要です。 私は、SNS・ソーシャルメディアの発展による恩恵は大きいと考えます。しかし、恩恵と同時に欠点も生じると考えています。SNS・ソーシャルメディアがもたらす利点と欠点は表裏一体であり、どちらか一方だけが存在することはありません。そのため、利点と欠点のどちらが多いかを比較するのではなく、どちらがより目立つかを検討することが適切であると考えます。 |
| (三重野)無知なままSNSを使うことで投稿がデジタルタトゥーとして一生残り、誹謗中傷による自殺等も実際に起きていることから、SNSは社会により多くの破壊の力を与えていると考えられます。 |
| (合津)SNSは間違った情報が広まりやすく、社会不安や混乱を招くことがあります。また、拡散速度が速く、訂正が追い付かなくデジタルタトゥーとなってしまうことも大きな問題点であると考えます。 |
| (原田・花)見えないところでのいじめや犯罪が増加しています。誹謗中傷による自殺などの深刻な問題も発生しています。これらがSNSによってもたらされたものであると考えます |
| (井出)例えば、「SNSアカウントで注目されたい」「いいねを貰いたい」などの欲求から、炎上行為や迷惑行為を面白がって炎上すること等は、SNSがあるからこそ起こる弊害であると考えられるからです。 |
| (鵜野)小学生など子供から高齢者まで多様な年齢の人々がSNSによりトラブルを引き起こしてしまうことがあると考えるからです。 また、SNSの発達により、犯罪グループのリーダーが闇バイトする人を集めやすくなったり、匿名で指示も出来るので警察に捕まりにくく、犯罪がたくさん起きてしまうと考えるからです。 |
| (遠藤)匿名でなんでもできてしまうSNSでは責任感が薄れやすく、誹謗中傷やデマの発信など本来抑制されるべき行動が簡単に実行に移すことができてしまうと考えられます。 |
| (大野)SNSは既読やいいねのような指標で人間関係の深さを計らせ、普段の対面でのコミュニケーションを不安定にしてしまうといった影響があると考えます。 |
| (北田)SNSでは、個人情報が簡単に広まってしまう危険がある。SNSにあげた些細な写真からどこにいるのか誰といるのかなどがわかってしまうことがあるからです。 |
| (至恩)SNSの普及により、匿名による誹謗中傷が増え、自殺などが発生しています。 |
| (横田)人々が互いを比べてしまうように感じストレスを感じてしまうと考えます。人々が互いを比べすぎてしまい、ストレスが増えるから。嫉妬や疎外感が生まれ、人間関係が不必要にこじれやすくなります。 |
| (鈴木)嘘の情報を本当のようにSNSで発信し、それを信じてしまう人も一定数いると考えられるからです。 |
| (長谷川)未成年でもSNSを使うのが当たり前になっているが、未成年が見知らぬ人と繋がったりすることでトラブルや事件がおきているからです。 |
| 【利便性が多いと考えるチーム】 |
| (岩本)SNSを含むソーシャルメディアは、発展していって破壊したものがあるが、それよりも利便性の方がはるかに多いと考えます。 理由としては、何か緊急なことがあったときに場所を選ばず情報を発信し、または情報を受け取ることができ、すぐに対応することができると考えます また、多くのことがSNS等により、効率的にできるようになり、社会をより発展させていっていると考えられます。 |
| (今泉)日常の考えを距離の離れた友人に気軽に共有できます。 また、SNSの活用により待ち合わせなどで時間を消費することが亡くなりました。 自身の考えを気軽に発信できることで多くの弊害も生じているが、それよりも大きな利益があると考えます。 |
| (杉本)破壊をもたらしているのは、SNSの使い方を誤っているのであって、適切に使えば効率よく情報を共有したり、すぐに連絡を取り合えるといったメリットがあるからです。 |
| (黒田)多様な価値観を持つ人々と意見を交換することで新たな知識を得ることができ、社会や世界に対する視野を大きく広げるきっかけとなると考えます。 |
| (松永)SNSは面白い動画や投稿を手軽に楽しめて、推し活や趣味アカウント等により日常が充実し、気分転換にもなりよい娯楽であると考えます。 |
| (小澤)情報を瞬時に受け取ったり、発信することができ、人々が距離を超えて繋がることができるものであると考えます。 |
| (徳光)少数派の立場であったり、悩みを持つ人々が、SNSを通じて情報共有することができると考えます。 |
| (田名部)SNSは離れた相手ともすぐに連絡が取れて、日常のコミュニケーションにとても便利であると考えます。 |
| (吉岡)社会問題としてSNSのデメリットが目立っているが、それ以上に即座にコミュニケーションが取れることや、情報共有など、メリットが多いと考えるからです 。 |